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山口県からのアレルギー情報

アレルギー週間の集い2021 市民講座  参加者の皆さんの質問にお答えしました。

 令和3年3月に開催した「アレルギー週間の集い2021 市民講座~アレルギーについて考えよう~」では、参加者の方々からアレルギー疾患に関する質問が寄せられました。今回はその一部を掲載いたします。
※先生方の所属等は令和3年3月時点のものです。

市民講座イメージ

質問と医師からのアドバイス

食物アレルギー

 未就学児の保護者です。私の子はアナフィラキシー発症歴があります。発症前は食事の後に、口の周りが赤くなったり、荒れたりということはありましたが、食物アレルギーは疑っていませんでした。食物アレルギーを疑う症状のポイントは何でしょうか。

山口県済生会
下関総合病院
小児科科長
平野玲史先生

 発症前の口周囲発赤や湿疹は、感作の場となる可能性があります。発症前であれば、口周囲の湿疹の治療や食事前後でのワセリン塗布などで感作予防を行う事を勧めています。
 食物アレルギー発症を疑う症状としては、全身臓器に多彩な症状として出ることがあり、症状出現時はかかりつけ医に相談・診察していただき確実な診断をつけることが大切と考えられます。

食物アレルギー・アナフィラキシー

 高校生の子供を持つ保護者です。運動誘発アナフィラキシー発症歴があります。

発症後、食物アレルギーの検査をしましたが、原因が特定できませんでした。睡眠不足や疲労時にアナフィラキシーが現れるだろうとのことでエピペンが処方されました。原因の特定できないアナフィラキシーの既往を持つ場合、日常生活での配慮や対策は何かあるのでしょうか。

 よく、ストレスをためないことが大切と言われますが、気づかないうちに溜まってしまっているものなので難しいと感じています。

 

 食物摂取と運動が重なると症状が誘発される食物アレルギーの特殊型で「食物依存性運動誘発アナフィラキシー」というものがあります。食物運動負荷試験を行って原因アレルゲンを特定できる場合もありますが、再現性が必ずしも高くなく、ご質問いただいた方のように、特定できないケースが結構あります。誘発症状の重篤度や頻度によって対応が異なりますが、比較的軽症と考えられる場合や食物が原因とは考えられない場合は食物除去や運動制限は行わず、エピペンを用いて経過観察を行うことがあります。日常生活での配慮ということですが、原因食品がわかってないということですので、ご指摘の通り、ストレスや体調不良時には運動を控えめにするなどの配慮と症状が出た際の初期対応について、しっかり本人・家族・学校とかかりつけ医との連携・事前相談をしておくことが大切と考えられます。

エピペン

 エピペンを使用することに不安を感じています。エピペンを使うことでの副作用や、使ったことでの悪影響が出ることはありますか。

 アドレナリン自己注射薬を使用することでの大きな副作用はないと考えていただいて良いと思います。

 むしろ使用しないことのデメリットや誤使用することで投与できなかったことの問題の方が大きいと考えられます。

なお、注意点として
 〇甲状腺機能亢進(こうしん)症や重症な不整脈がある人は不整脈が悪くなる可能性があること。
 〇動脈硬化の強い人は、血管の詰まる病態(脳梗塞、心筋梗塞)が起きる可能性があること。
 〇糖尿病の人では血糖値が上昇する可能性があること。
 〇精神疾患の人では、一時的に精神状態が悪化する可能性があること。 
・・・があげられます。

 しかし、エピペンを使用する状況は、命が危機的な状態ですので、迷わずエピペンを使用してください。
 ただ、そういう疾患を持つ人は、エピペンを使用しつつ、すぐに対応できるように救急車を呼ぶ状態にすることが適当と考えられます。

小児喘息①

 小児喘息を改善するため生活上で気を付けることや、成長するにつれて喘息を良くする、あるいは喘息でなくなるためにどのようなことが良いのか教えてほしいです。

 

 成長するにつれて風邪をひくことが少なくなり、呼吸の機能も強くなりますので、発作は出にくくなりますが、最も重要なことはお薬を調整して、発作を出さないようにすることです。

小児喘息②

 未就学児の保護者です。小児喘息既往歴があります。喘息症状がでることを心配し、冬場は外遊びせず室内遊びのみとしていますが、身体的、精神的にもそれでいいのか迷っています。

 

 大事なのは喘息の子どもさんが発作が出ないようにお薬を調整して、喘息ではない子どもさんと同じような生活をすることです。喘息だからといって日常生活、学校生活でしたいことを我慢する必要はありません。外遊びで咳やゼーゼーが出るようなら、かかりつけ医にご相談ください。

咳の症状

 40歳代の男性です。咳の症状がひどく内科を受診したら、アレルギーと診断され内服薬が出ました。その薬を飲んでも1か月以上咳が続きました。このような場合、咳を我慢して経過をみるしかないでしょうか。

 咳は我慢する必要はないです。 ただ、咳の原因は多岐にわたります。 喘息による咳の他に、タバコの影響によるCOPDによる咳もあります。心臓喘息と言われる心不全による咳、鼻炎による咳、逆流性食道炎による咳、感染症では、1ヶ月以上続く咳で、怖いのは肺結核が挙げられます(日本では珍しくないです)。また、肺癌による咳もあります。

 まずは、胸部レントゲンを撮影することで、咳の原因がある程度絞れます。一度、専門の病院を受診していただけたらと思います。

じんましん

 子どもにときどき蕁麻疹(じんましん)がでます。原因は分かりません。蕁麻疹が出た場合、少し様子を見た方がいいのか、すぐに受診した方がいいのか迷う時があります。受診の目安などを教えてほしいです。

 

 一般的な蕁麻疹は特発性蕁麻疹と言って、原因がはっきりしないものが70%以上を占め、食物アレルギーによる膨疹(ぼうしん)は数%と言われています。

 蕁麻疹での救急受診の目安は、咳やゼイゼイする呼吸器症状や腹痛嘔吐などの消化器症状など皮膚症状以外の症状がある場合と皮膚症状が全身に急速に広がる場合と考えられます。

 体の一部分のみの場合は蕁麻疹部の冷却や体をぬくもらせるようなら長時間の入浴や運動等を避け、平日時間内にかかりつけ医を受診していただければと思います。

食物負荷試験等

 食物アレルギーの子どもで学校において管理が必要な場合は、学校生活管理指導表を毎年提出していますが、アレルギーの検査は毎年は受けていません。ただ、年齢が上がるにつれて、食べられる食材が増えていく子もいると聞きます。重症度によっても違うと思いますが、どのような場合に検査をすればよいでしょうか。

 

 学校生活管理指導表は医師が学校での特別な管理が必要と考えられる児に年に1回記載するものです。検査との関連性はありません。

 検査についてですが、当院では血液検査は2歳未満の乳児では半年毎、それ以降は1-2年毎に行っています。血液検査は感作を見ているだけです。症状が出るかどうかを見極めるには食物負荷試験が必要です。食物負荷試験は診断だけでなく、摂取を積極的・安全に進めるために逐次行います。まずは、かかりつけ医を受診していただければと思います。

アナフィラキシー

 2回目のアナフィラキシーはかなり危険な反応があると言われますが、それは、同一のアレルゲンに対する時のことでしょうか。

 同一アレルゲンに対するときのことだと思います。蜂アナフィラキシーや薬によるアレルギーの場合、アレルゲン蛋白が多量でアレルゲン性の高い物質が体内に入る場合は感作の程度が強く、2回目の誘発症状は強く出ることがあります。一方で食物アレルギーによるアナフィラキシーでは2回目のアナフィラキシーの方が特に危険ということは経験上ありません。

こどもが食物アレルギー(くるみ)を持っています。

 アナフィラキシーだと判断する際に最も気を付けるポイントを教えてほしいです。

 

 アナフィラキシーは急速かつ多臓器に症状が出る状態です。特にアドレナリン自己注射薬を使用するタイミングが重要と考えられますので、日頃から日本小児アレルギー学会の一般向けエピペンの適応に記載のある症状を気を付けて観察していただけたらと思います。

その他

 新生児期からの空気清浄機の使用はかえって環境の変化・ハウスダストなどに弱い体質にならないでしょうか。

 

 空気清浄機の使用が子どもの成長に悪影響を与えるという報告はありませんので、使用していただいて良いと思います。

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