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花粉症について【耳鼻咽喉科かめやまクリニック/金谷浩一郎先生】

 花粉症は、花粉によって引き起こされるアレルギー疾患です。最も多い花粉症は、地域差もありますが、主に春先にみられるスギ花粉症です。くしゃみや鼻水、目のかゆみ等に悩まされている方も多く、最近では小児の花粉症の増加等も指摘されています。今回は、金谷浩一郎医師(山口県医師会花粉情報委員会委員長・山口県アレルギードクター/耳鼻咽喉科かめやまクリニック院長)にお話しを伺いました。

花粉症イメージ

Ⅰ 花粉症の概要

山口県内での主な花粉症の原因と季節を教えてください。

山口県医師会

花粉情報委員会

委員長
金谷浩一郎先生
(耳鼻咽喉科かめやま

クリニック院長)

 スギ花粉は、山口県内では2月~3月頃に飛散します。ヒノキ花粉は、スギ花粉と入れ替わるようにして3月~4月にかけて飛散します。ハンノキ属の樹木の花粉もアレルギーをおこすことで知られていますが、スギ、ヒノキと重なり、3~4月頃に飛散します。イネ科の雑草は国内に600種以上あるといわれ、開花時期が異なるため1年を通して不定期に飛散します。イネ科植物は草本なので、木本であるスギ・ヒノキに比べて、その花粉飛散数は圧倒的に少ないのですが、少量の花粉でも比較的強い鼻炎症状を引き起こすのが特徴です。

花粉症とアレルギー性鼻炎の違いは何ですか?

 アレルギーを引き起こす物質(これを抗原といいます)が鼻の粘膜に付着し、アレルギー反応を生じることでおきる鼻炎をアレルギー性鼻炎といいます。抗原には色々なものがありますが、特に花粉に含まれる抗原によっておこるアレルギー性鼻炎を花粉症といいます。アレルギーをおこす花粉のなかで、日本ではスギ花粉の飛散量が圧倒的に多く、スギ花粉症の罹患率は4割近くにもなるため、日本で花粉症という場合通常はスギ花粉症(スギ花粉によるアレルギー性鼻炎)をさします。しかし、ヒノキ、イネ科植物、ブタクサ等のキク科植物など、スギ以外の植物の花粉もアレルギーをおこしますので、これらによる花粉症もあります。

花粉症の治療法を教えてください。

 花粉症では、まず戸外で花粉を吸い込むのを避けることや、花粉を屋内に持ち込まない工夫が重要です。医学的な治療としては、薬物療法、手術療法、抗原特異的免疫療法の3つがあります。このうち薬物療法では、症状が出てから薬を飲み始めるよりも、花粉が飛散しはじめる前で症状が出ていない頃から飲み始めた方が薬の効果が高いといわれています。手術療法は、レーザーや高周波電気などで鼻の粘膜を焼灼します。これを、花粉飛散が始まる前に行うことで、花粉飛散時の症状を和らげることができます。抗原特異的免疫療法は、アレルギーに対する唯一の根治療法に位置付けられています。皮下注射による方法(皮下免疫療法)と薬剤を使う方法(舌下免疫療法)との2つがあり、最近では安全性と簡便性の面から、後者の舌下免疫療法を受けられる方が増えてきています。

花粉症は一度かかると二度と治らないのでしょうか・・?

 病気の症状がほぼ消失してなくなった状態を寛解といいます。花粉症での自然寛解率は10~20%程度という報告があります。一方、花粉症に対する治療のなかの抗原特異的免疫療法という治療は、アレルギー疾患に対する唯一の根治療法と位置付けられており、この治療を数年間継続することでその後の長期間、寛解状態になることが期待できるといわれています。

花粉症に悩む子育て家庭からのご質問にお答えします

 花粉症に悩むお子さんも増加傾向にあり、そのお子さんと保護者の方は学業やスポーツなどとの両立にお悩みです。
 今回、子育て家庭の皆さんからの質問にも同じく、金谷浩一郎医師からお答えいただきました。

子どもイメージ

学会の報告で、小児の花粉症が増加していると聞きました。何か理由はあるのでしょうか?

 花粉症に限らず、近年、世界中の多くの先進国でアレルギー疾患全体が増加してきています。アレルギー疾患増加の理由として、まず、あげられるのが原因となる抗原の増加です。日本では、戦後盛んに植林されたスギが昭和50年代ころから大量の花粉を飛ばし始めたため、この頃からスギ花粉症の患者が増えてきました。毎年のスギ花粉飛散数は、現在でもまだ年々増加傾向にあり、そのため、スギ花粉症患者の数も増加し続けています。このほか、衛生仮説とよばれるものがあります。私たちの身体の免疫系は、乳幼児期に非衛生な環境で育つことで徐々に変化していくのですが、あまりに衛生的な環境で育つと、この免疫系の変化がおきないためアレルギー体質になってしまうといわれています。これが衛生仮説です。以上の他、腸内細菌叢の変化、大気汚染などもアレルギー疾患の増加に関係しているといわれています。

子どもがアレルギーにならないために、親として気を付けるべきことはあるのでしょうか?

 タバコの受動喫煙、家具や住宅のホルムアルデヒド等の揮発性有機化合物、自動車の排気ガスなどは、アレルギー発症の危険因子と考えられています。したがって、小さいうちは特にこれらを避けることが重要です。このほか、犬や猫などのペットの飼育もアレルギーの発症率を増加させるといわれています。また、生後4ヵ月までの母乳栄養がアレルギー発症のリスクを下げるという研究が多くありますので、可能であれば小さいうちは母乳栄養の方がよいかもしれません。

 子どもがアレルギー持ちです。特に春先のスギ・ヒノキ花粉が多い時は目が腫れぼったくなり、鼻水も出ます。また処方された薬のせいか、授業中に眠たくなることも多いそうです。子どもの花粉症治療へのアドバイスをお願いします。

 花粉症では、抗ヒスタミン薬という薬が最も多く使われますが、この薬剤には眠気の副作用を持つものが比較的多くあります。近年、眠気の副作用を低減させた新しい抗ヒスタミン薬も出てきていますので、薬で眠くなるという場合は、医師に相談して眠気のないタイプの薬に変えてもらうのがよいでしょう。また、抗ヒスタミン薬単独で症状が抑えきれない場合、抗ロイコトリエン薬など、他のタイプの抗アレルギー薬を併用すると症状が軽減できることがあります。抗ヒスタミン薬以外の抗アレルギー薬では通常眠気はでません。内服薬の他、鼻用ステロイド噴霧薬も有効です。これらの薬で症状を抑えきれない場合や、副作用のため薬が使いにくいという場合は、舌下免疫療法(抗原特異的免疫療法)を検討されるとよいでしょう。

 小学校でサッカーをしていますが、春先の花粉シーズンは練習中もすぐに息があがってしまうそうです。どのような対策が有効でしょうか?

 花粉症では鼻づまりのため鼻呼吸が困難になりやすいので、スポーツでは注意が必要です。シーズン前でまだ症状がでないうちから、規則正しく薬の服用を続けておくのがよいでしょう。その場合、薬の種類によっては眠気の出るものがあるので、スポーツをする場合は特に眠気のでないものを処方してもらうようにしましょう。また、鼻づまりに対しては鼻用ステロイド噴霧薬も有効です。ただし、市販の点鼻薬の多くは、血管収縮剤を含んでいるので注意が必要です。血管収縮剤の点鼻薬を使うと一時的に鼻が通るのですが、長期使用で、逆に鼻つまりが治らなくなります。花粉症など慢性の鼻炎の方は、なるべく血管収縮薬の含まれていない点鼻薬を使うことが推奨されています。根治的な治療を考えられるのであれば、舌下免疫療法という方法があります。舌下免疫療法では、薬を舌下に服用する前後の2時間は激しい運動を避ける必要がありますので、開始する場合は、練習時間と舌下の服用を行う時間の調整をしておく必要があります。

 春先の花粉シーズンと受験時期が重複しとても心配です。また花粉症が学力に影響しないかと思います。いつ頃から花粉対策を行うのがよいのでしょうか?

 日本では春の花粉時期と受験の時期が重なりますので注意が必要です。花粉症をもっていると学校の成績に不利に働くという海外の研究もあります。山口県では、早い年では2月初旬からスギ花粉が飛び始めます。花粉症の薬を飲む場合、花粉飛散の少し前の時期(1月中旬くらい)から飲み始めるとよいでしょう。抗アレルギー薬のなかには眠気が出るものがあります。受験を控えたお子さんの場合は医師にそれを伝え、眠気のないタイプの薬を処方してもらってください。内服薬に鼻用ステロイド噴霧薬を併用すると、さらに効果的です。薬を飲んでも鼻のつまりがとれないという方の場合は、シーズン前にレーザーや高周波電気で、鼻粘膜を焼灼する治療を受けておくという方法もあります。また、薬が効きにくい方では、1~2年前から舌下免疫療法を行っておくのも有効です。

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